桜りっぷ

三人は、微笑み合う。

「俺、もう駄目だ
 酔ったからあがる、お先」

湯船から出た、弦の背中から
お尻にかけて棲む厳つくも
儚い刺青に、周りの男達
子供の視線が釘付けになる。

口を開けたままの子供の頭を
ポンポンと叩く、弦。

「風邪、引くぞ」
 
弦が、にっこりと微笑むと
子供も、にっこりと微笑み
返した。

「顔に似合わず、厳つい刺青」

「アイツが背負ってるのは
 観音菩薩(ぼさつ)
 じゃねえ
 
 妹のユミだよ」

「若いのに、えらいもん
 背負ってるな」

「俺もそろそろ、あがるわ」

湯船から出る、黒龍の背中。

「なあ、カイリ
 
 俺達は
 ずっと変わらないよな?

 何があっても・・・」