桜りっぷ

シャワーを出しながら
汚れた手を洗う、浬。

遠い昔・・・

入江組の近くにある銭湯の
湯船に浸かる、浬、弦、塁。

「いい湯だなぁ」

「ああ、最高」

「組長
 お背中流しましょうか?」

「セキ、うるせえ
 
 その呼び方は、やめろ
 お前らは、今までどおり
 呼び捨てで構わない」

タオルで顔を拭きながら
弦は言う。

「そういう訳には
 いかねえんじゃないの
 下のもんの手前」

「そうだな、そこはしっかり
 線を引く方がいいな
 組長」  

「やめろって言ってるだろう
 俺は、お前達の親じゃない
 
 俺とセキとルイは、同志
 
 親も子も、上も下もねえよ

 今までどおりで
 今までどおりがいい」