夏が終わり

秋風が優しく包む

穏やかな時間・・・

「本当、この街は
 のどかだね

 空気がおいしい」

茉優は、大きく息を吸う。

「でしょう?
 
 私はもう、ここから
 離れられないよ」

「アイが、カイリと
 この街に住むって言った時
 正直、私には無理だって
 思った
 
 幾ら愛する人との、幸せな
 日々を守る為だったとしても 
 
 やっぱり、街で暮らす方が
 何かと便利だし生まれ育った
 場所を離れる事、私には
 できない、そう思ってた」

「それが
 できてるじゃない」

「そうなんだよね
 
 今は違うの
 
 ルイが傍に居て、家族と築く
 幸せの為なら、生まれ育った
 街なんて、過去なんて
 捨てられる・・・」