桜りっぷ

そう、この店に訪れるのは
政界や各界の著名人ばかり

間違えて入店してしまったで
あろう

若くうだつの上がらない
俺達に指名されたホステスは
大切な時間を割かれるのは
真っ平ごめんとばかりに
席に付くなり、世間の政治事情
などを分かりもしない俺達に
ああでも、こうでもないと
語り出した・・・

そして、数分でお待ちかねの
常連のお客に指名され、この
テーブルを離れて行った。

「すぐ、戻りますね」

俯き、煙草を吸う浬に舎弟は
言う。

「アニキ、ここ出ましょうよ
 いつもの店にしましょう?」

煙草の煙を吐き出した浬は 
この店の支配人らしい男を
手招いた。

「なあ、さっきの高飛車な女
 とっかえてくんない」

「えっ、何か、ご気分でも
 ・・・」