桜りっぷ

確かに、あの広告には批判的な
声も集まり、違うパターンの
藍の頬に桜だけが舞う広告に
採用されることが決まっていた

だけど、某有名化粧品会社の
社長が、インパクトのある最初
の広告で行きたいと願として
その意見を譲らなかった事で
あの広告に決定したと藍から
聞いた。

「カイリの腕は、合成みたい
 だけど、アイのあの表情は
 それを微塵も感じさせない
 
 カイリの手に触れられて
 アイは、あんなにも輝き
 ため息が出るほどに美しい
 
 カイリの腕は、もはや
 アートのひとつに
 なっちゃった

 あの広告のおかげで化粧品
 はバカ売れ、企業も大喜び」

「そうか、それなら良かったが
 俺は、あの広告を見て
 つい、笑ってしまった」

貴方が微笑んだのは
浬の腕を見たから・・・

茉優の額を指先で弾く、塁

「痛い」