桜りっぷ

式場前に停められたバイクに
跨り、ヘルメットを外す浬。

「カイリ」

塁の指差す方向を見つめた浬

そこには、ウェディングドレス
を身に纏った藍が駆けてくる

バイクから降りた浬は
ヘルメットを持ったままの手を
藍の背中に回し、彼女を
抱きしめた。

浬に夢中でしがみ付く、藍。

「藍、お待たせ」

「バカ
 いつまで待たせるの
 
 おばあちゃんに
 なっちゃうよ」

「ごめん
 
 ごめんな」

「もう、やめて
 
 もう二度と
 消えたりしないで」

「ああ、もう二度としない」

ドレスの裾が、まだ少し
湿った道路に付いて
このままだと汚れてしまう。

藍を抱く、浬。

「カイリ、いいよ
 恥ずかしいよ」

「いいから、じっとしろよ」