「あのまま・・・
 
 あの場所に居る事は
 俺には許されない」

あの場所で築きあげた全て
貴方のせいで崩れた。

組長である、馨を見つめる。

男の声色が少し変化した事を
察知した浬。

こんな屁でもない組の為に
全てを捨てた。

それなのに貴方は意気揚々と
組長の座に居座り、それで
得心している。

こんな小さな世界で
満足している。

「この組を潰して
 カンザキヘ戻るつもりか?」

「ああ
 俺は、俺の居場所へ帰る
 ここにいる奴らと共に」

男の周りで意気込んでいた
男達の顔色が変わる。

彼らは、馨が組長になった事を
不満に思い、異議を唱える者達
の集まり。

入江組を潰すことなど少しも
考えていない、自分達の手で
この組を盛り立てて行きたい

ただ、それだけ・・・