桜りっぷ

浬は右手、人差し指の
爪を噛み、何かを
考えている。

「アニキ、何考えてるの?
 
 やるって、何やるの?

 どこ行く気だよ」

「お前には関係ない」

「関係ないって何だよ」

「リン、すまない
 
 俺は行かなきゃいけない
 お前と話してる時間は無い」

「アニキ・・・」

浬は、厘のお腹を思いっきり
打った。

厘は、布団に倒れる。

浬は、バイクの鍵を持ち
静かに部屋を出る。

一階の客間で眠る父と母に
気づかれないように
玄関へ向かい、靴を履く。

「カイリ、何してる?」

振り返るとそこには
祖父、正二の姿。

「じいちゃん」