桜りっぷ

「貸して」

浬は、布団から飛び起きて
厘から携帯電話を受け取り
電話に出た。

「ルイ、どうした?
 こんな夜遅くに・・・」

厘は、布団に深く潜り
瞼を閉じる。

「ルイ?」

電話の向こうは、静寂・・・

嫌な胸騒ぎがする、浬。

「・・・カイリ、すまない
 
 明日の式だが
 俺は、出席できそうにない
 
 それだけ、どうしても
 お前に伝えたくて・・・
 じゃあ」

浬の深い声・・・

「ルイ、何があった?」

「何も・・・ないさ
 アイちゃんを
 幸せにしてやれよ」

「待てよ、ルイ」

「ルイさん
 こんな時に電話ですか?」

電話越し、聞える男の声。