桜りっぷ

「アニキ、電話鳴ってる
 アニキ・・・」

厘は腕を伸ばし、隣で眠る
兄、浬の背中を揺する。

浬が起きないので今度は
叩いてみた。

それでも、浬は起きない。

途絶えた着信音が
もう一度、鳴り響く。

「アニキ、電話・・・」

「・・・えっ?」

「もう、仕方ねえなぁ」

畳の上に敷かれた布団から
起き上がった厘は、テーブル
に置かれた、浬の携帯電話
を手に取る。

前祝だと、祖父にお酒を
勧められ、飲まされた挙句
浬は酔いつぶれ

ついさっき、やっと
解放されて眠りについた
ばかり・・・

そんな頭は、目覚めても
ボーっとしているが、浬は
やっと状況を把握できた。

「リン
 電話、誰から、藍?」

塁の文字・・・

「ルイ・・・?」