桜りっぷ

浬の携帯電話が鳴る。

「もしもし、ああ
 今、家出たところ
 
 そっちは用意できてる?
 
 もうすぐ、着くから・・・」

携帯電話を切った、浬に
話しかける藍。

「お母さん?」

「ああ
 待ってるってさ」

「じゃあ、急ごう
 待たせちゃ悪いよ」

浬の手を引いて、早歩きを
する藍。

その手を引き寄せる、浬。

「いいよ、急がなくても・・・
 いつもどおり、歩こう」

「うん」

いつもどおりの歩幅で二人は
見慣れた街並みを歩く。

浬の足が止まる・・・

「カイリ、どうかした?」

「忘れもの」

「えっ、何、忘れたの?」