「でも、今までにトンネルを通って いなくなったのは、姉さんぐらいだよ? それも、みんな家出だとか言ってるし。」 「家出って、わざわざあのトンネル 通らなくちゃいけないの?」 「そうじゃないけど、 隣の街に徒歩で行くには、 一番の近道になるんだ。 それに、 夜になら人の目も少ないから……」 「だから、家出だって思うの? あなたも」 「……っ。僕は……」 僕は、姉さんが居なくなったのは 家出なんかじゃないと思っている。 だって、理由が見当たらない。