「・・オルハ、貴方はいつまで焔を抱いているつもりなのです?」

「・・・あ」

アルに言われるまで気づかなかったオルハは、一度焔を確認する。

「・・・何、さっさと離しなさいよ 駄犬」

「うっうるせぇな! ほらっ」

焔に鋭く睨まれると、オルハは顔を真っ赤にして焔から視線を逸らしながら離した。

「ほらっ、これで満足だろ!!」

「・・ムカつくので地獄に帰ってください」

「何故そうなる」

鎖がオルハめがけ奔りだした時だった。

「え、な、夢、・・? 白昼夢ってやつかな!?」

「「「・・・え、」」」

不意に声が聴こえたので見るとそこにはブレザーを着たボブの女子高生。
身体を小刻みに震わせ、顔を青ざめながらこちらをしっかりと見ている。

・・・しまった・・

三人が同時に同じことを思ったのは言うまでも無い。

重たい沈黙の中、それを破ったのは焔だった。

「アンタ、コイツらのこと見えてるの?」

「はい・・もしかして お化けなんですか?」

「お化けとは違いますが・・まぁいいでしょう説明も面倒ですし。 ほら、オルハ 久しぶりのお客様ですよ」

「わ、分かってる! ちょっと掃除してくる・・」

「よろしくね! さて、店内へどうぞ」

「は、はぁ・・・」

焔がニッコリと笑って促すと、女は苦笑いをしながら頷いた。