「値段はーそうね、一万五千円! ほかにも欠落してるとこあるからそれくらい どう?」
「・・分かった、買う」
確かにほかにも戦車などがなかったが、雅之にとっては十分。
お金を払うと、焔は上機嫌に口を開いた。
「この本はね あんたが死ぬほど困ってる時にタロットカードの名前を呼ぶと何かが起こるんだよ」
「・・何かって何」
「ふふー秘密」
口に人差し指を寄せニッコリと笑う焔。
多分、問い詰めても何も教えてはくれないだろう。
「・・とりあえず帰る」
「はーいご利用ありがとうございましたー!」
扉がたてつけの悪い音をたてながら開く。
あっという間に閉じた音がして、振り返る。
「・・・!? あ、れ」
今までいたはずの店がない。
あるのは空き地だけ。
白昼夢・・・いや、違うか
手元に残るその本が先程までのことを現実だと知らせてくる。
表紙を眺めるようにみると、ある変化があった。
「なんだ、ろくりくろ・・・?」
タイトルのなかった本に現れたタイトル。
碌勠碌。
振り仮名がふってあったので読めたが、なければ絶対読めない。
雅之は特に気にすることなくその本をかばんにしまった。
後ろにあの女がいることも知らずに。
「・・分かった、買う」
確かにほかにも戦車などがなかったが、雅之にとっては十分。
お金を払うと、焔は上機嫌に口を開いた。
「この本はね あんたが死ぬほど困ってる時にタロットカードの名前を呼ぶと何かが起こるんだよ」
「・・何かって何」
「ふふー秘密」
口に人差し指を寄せニッコリと笑う焔。
多分、問い詰めても何も教えてはくれないだろう。
「・・とりあえず帰る」
「はーいご利用ありがとうございましたー!」
扉がたてつけの悪い音をたてながら開く。
あっという間に閉じた音がして、振り返る。
「・・・!? あ、れ」
今までいたはずの店がない。
あるのは空き地だけ。
白昼夢・・・いや、違うか
手元に残るその本が先程までのことを現実だと知らせてくる。
表紙を眺めるようにみると、ある変化があった。
「なんだ、ろくりくろ・・・?」
タイトルのなかった本に現れたタイトル。
碌勠碌。
振り仮名がふってあったので読めたが、なければ絶対読めない。
雅之は特に気にすることなくその本をかばんにしまった。
後ろにあの女がいることも知らずに。


