守護まにゅある!

ため息を吐きながら、アルは一本の鎖を力強く引っ張った。
それは、男の首に近い鎖。

「私に守るものがある、と?
あなたの目は節穴ですか そんなものある訳ないじゃないですか」

『ぅぐっ・・・? じゃあお前のその後ろにいる女はなんだ?
ただの他人ってか』

冷や汗をかきながら挑発してくる男にイラついたアルは、鎖を引く力を強くした。

『ぐっふぅ・・・!』

「私のこの鎖は特殊でして。 もう少し力をいれればあなたは消滅しますよ
あぁ、そうだ 私と焔は他人なんかじゃないです
私は昔焔にあることをされたので力を貸してるだけですから
あの娘が死のうが私は知りません。 ・・ですが」

そういってゆっくり息を吐き、鋭く男を睨み付けた。

「あなたに焔を殺されるのであれば、私は容赦なくあなたを消滅させます
焔は・・私がこの手で消滅させるのですから、ね」

そういいながら、チラリと焔を見る。

焔はコクリと頷いて呟いた。

《オルトロス、呼び奉れ》

オルトロスと呼ばれたオルハの身体が大げさに跳ねた直後、目を見開いて叫び始めた。

「あぁあああぁあぁぁああぁぁああぁぁああ!!!!」

オルハの足元が大きな黒い水溜りが出来た。

水面が波打った途端、水しぶきを上げて巨大な門が現れた。
店を破壊してしまうのではないかと思わせられるくらいに大きな門は、アルの鎖と似たもので堅く施錠されていた。