澤木さんと出会ったのは本当に偶然だった。

偶然で、本当に漫画か小説に出てきそうな、

ありきたりで、でも素敵な出会い。


朝学校に向かう途中のあたしに目の前に倒れてる人がいて。

人通りの少ない場所だったからか

誰にも見つけてもらえず、道路の端にひっそりと倒れていた。

しかもスーツ姿のままで。

すべてに絶望したような顔をして。

どうしたんですか?何かあったんですか?


聞いても答えてくれなかったけれど、

お腹が鳴ったのに気がついてお弁当を差し出した。

最初は拒否されたけど、
それでも押しつけるとまるで負けたようにお弁当を無心に食べだした。

それから。


「お前が作ったのか?」

たぶん早食い選手権に出たら一番になりそうなタイムで食べ終えたてあたしに質問してきた。

声には出さずにただ頷くと。

「お前いい嫁さんになるな」

小さく笑ってあたしの頭を撫でてくれた。