一度確認してみると
「ったくお前は母ちゃんかよ」
ふてくされる澤木さん。
「お母さんではないです。だいたい澤木さんのお母さんだったら
あたし澤木さんより年上じゃなきゃいけないじゃないですか」
「んな事言われなくても分かってるっつーの。ってかお前年齢詐称してんのか?」
「し、してません!」
「分かってるよバーカ」
もう!
本当に手を洗ってなさそうだから鞄からウェットティッシュを取り出して渡す。
「ったく。女子高生が常備してるもんじゃねぇだろ」
クスっと笑いながらも受け取って手を吹く。
「澤木さんがいけないんですよ、ちゃんと手を洗わないから。
もっとしっかりしてれば必要ないんですけどね
「へーへー。そりゃあ悪かったな」
ちっとも悪びれた顔せずに今度こそお弁当を広げた。
「いただきます」
律儀に両手を合わせて、瞳を閉じる。
そこから見える、長い睫。
整った顔立ち。
細長い指。
がっしりした腕。
普通に暮らしてれば普通にモテそうな顔。


