キレイ・・とは決して言えないオンボロな服を着て、
でも顔をくしゃくしゃして笑顔であたしに声をかけてくれる
このおじいさんはとっても優しい人だ。
それに何度お世話になったことか。
「あの澤木さんは?」
「おぉ、まだ寝てんじゃねぇのか?」
やっぱり・・
「ありがとうございます」
もう一度お礼を言うと、若いのに大変だなぁ~なんて
笑って言いながらどこかに向かって歩きだした。
その背中を見送って澤木さんが寝てるであろうその家に足を進める。
「澤木さん?澤木さん?あたしです。花梨です!!」
ノックは出来ない。
ドアは段ボールで出来ている。
前に一度段ボールにノックしたら簡単に壊れちゃって。
それでこの家の主にめちゃくちゃ怒られた。
「段ボールにノックする奴がどこにいるんだよ」って。
かなり呆れられながら。
だったらちゃんとしたとこに住めばいいのに。
「澤木さん?起きてくださいよ!!起きないと・・ち、ちゅうしちゃいますよ!!」


