「澤木さんあたし帰ります」 「そうか」 「はい」 それじゃあ、くるりと反対を向いて歩き出すあたしにいきなり腕が引っ張られる。 え、なにが起きたの? 不思議に思ってるうちにすっぽりと澤木さんの胸の中に入ってしまった。 「あんま無理すんなよ」 耳元でささやく声がとても優しい。 澤木さんはとても優しい。 あたしにだけじゃなく、きっと誰にでも。