お目当ての公園にはいつもより少しだけ早く着いた。

でもそこに捜してた人はいなくて。

その代わりに小さな子供達が砂場で楽しそうに遊んでいる。

隅っこではお母さんらしき女の人たちが子供達を気にすることなく話に花を咲かせている。


いつかはあたしもあんな風になるのかなぁ。

そこまで考えて目的を思い出す。


いけない、いけない。


ここにもいないっていうことは・・

もしかしてまだ寝てるのかな。


「もう!!」



大きく肩を落としてからもう一つの目的の場所へと足を移す。

もう一つの場所には少し行きにくかったりするんだよね。


川沿いの明るい通りには段ボールとビニールシートで作られた家が続いている、

おじいさんとか、おばあさんとか。

いろんな人たちが自由に暮らす場所。

その並ぶ家と呼べるかどうか分からない場所の一つに

もう一つの目的の場所がある。

「よぉ花梨ちゃん、今日も旦那のとこかい?」

もうすっかり馴染みになったお隣さんにぺこりと頭をさげて

「こんにちは」

と挨拶をする。