澤木さんのこと。




「ジジぃ、世迷い言言ってんじゃねーぞ。俺とこいつはそんな関係じゃねぇんだよ」

「お前大事そうに弁当食ってたじゃねぇか」

「当たり前だろ?一日1食しか食ってねぇんだから」

「またまた~お前アレだろ?ただ寂しかっただけだろ?」


おじいさん、完璧に澤木さんで遊んでる。

澤木さん顔で反対を向いているから表情はよく見えない。




本当?

澤木さんもあたしに会えなくて寂しかったの?



「おい」

あたしがぼーっとしてるうちに老夫婦はいなくなっていた。

澤木さんの声で一瞬で我に返る。


「澤木さん、今のは・・」

「ただの老人の戯言だろ?」

「そう、なんですか?」


やっぱりあたしは澤木さんにとって


「だーー!!ぐじぐじすんなよ!!よし、風呂行くぞ」

「へ?」

「銭湯だよ、銭湯。お前も来い!!」

銭湯!?あたしも?

「い、いいの?」

「おう、つーかむしろ付いてこい」

「でもあたし制服だし」

「んじゃ銭湯の受付でジュース飲んで待ってろ」

「はい!!」


ちょっとこのにおいはきついけど。

でもこうして隣にいられるならそれもまたいいかも。