澤木さんのこと。


次の日。

結局澤木さんとの事がずーっと頭から離れないまま朝を迎えてしまった。

しかも

「どうしよう。これ」

鞄とは別に持ったお弁当袋を見つめる。


いつもの癖で作ってしまった、澤木さんへのお弁当。

昨日の今日で直接渡せるわけでもないし。


夏の気温は甘く見てはいけない事はおバカなあたしも十分承知している。


だから今日はいつもよりも早く起きてお弁当を作った。

一応保冷剤は入ってるけど。放課後は勉強もしなくちゃだから渡すなら
今のうちに渡さないと。


でも渡せないし。


さっきからずっとこんな感じ。


ぐるぐる回ってる。


「はぁ」


ため息をついてると

「おお、花梨ちゃんじゃねーか」


公園の方から澤木さんのお隣のおじいさんが歩いてくる。

「おはようございます」

深々とお辞儀してから

「あれ?公園にいたんですか?」

ふと思った疑問を口にした。

「ああ、毎朝ここでラジオ体操やってんだよ。んでその後鉄棒で体を鍛えてたんだ」

「そうなんですか」

そこまで口にしてある事に思いつく。

そうだ。