澤木さんのこと。



(1)Xを・・・・

うーん・・うーん・・


「お前まさか・・この問題が分からないなんて事はねぇよな」

「わ、分かりますよ!!基礎の基礎ですよ!」

そうは言ってもちっともシャーペンが進まない。

「ったくしょうがねぇな。いいか、この公式はな...」


あたしの持ってるシャーペンを取り上げてスラスラと書いていく。

「..んで、このxを移項させると....分かった?」


まるで魔法の呪文みたいにスラスラ出てくる言葉。

それが意味不明過ぎて..

「うーん..分かりません」

手を挙げてみせる。


「..は?分かりにくかった?でもこれが一番簡単で..」

「そんなの言われたって分かりませんよ!!あたし数学本当にダメなんですよ?」

「お前それ自慢して言う事じゃねぇぞ?」

「だって..」

「ちなみに前回のテスト..何点だったんだ?」

「に、にじゅう..」

あたしの声に驚いた澤木さんが

「はぁ?20ぅ!?..信じらんねぇ。そんな点数取る人間って本当にいるんだな」


なに、その言い方。

カチンとくるような、言い方。