いつの間にかあたしが持っていた教科書を澤木さんが手にして
パラパラとページをめくっていく。
こうしてみると澤木さんって本当にカッコいい。
ホームレスなんてもったいない。
頑張ればホストにだってなれるのに。
口の悪さを頑張って直せば、の話だけど。
「へ~、結構応用問題多いのな、お前んとこの教科書」
「そりゃあ、一応進学校ですから」
「進学校・・ねぇ」
ふいに浮かんだ疑問。
これくらいなら質問しても答えてくれそう。
「澤木さんは高校生の時、どんな感じでした?」
「どんな感じって?」
「どんな男の子だったんですか?」
「別にフツーだけど?」
返ったきた言葉はあっさりしたもので。
しかも分かりにくい。
普通って、どんな普通なんだろ?
いろんな事を想像してたら
「お前今何想像した?」


