手で言葉を 〈貴方に伝えたいことがある〉


「うん。俺なんか不器用な方だから、そんなに上手く折れない」



そんな私の態度には気にせず、永島君はそう言う。




…それにしても、本当にキレイな声。


男の子っぽい少し低い声で、なんか透き通っているような感じ。

そして、純水を感じさせられる。 
純水なんてあんまり見たことないけど…。



それに、声を聞いている人に安心感をあたえる。





“いつまでもこの声を聞いていたい”


ふとそう思った。




「そうなんだぁー。あたしは小さい頃からけっこう折り紙とか好きでよくやってたら、いつの間にか器用になってたんだよねー。…でも、男子だったら少しぐらい不器用でも大丈夫だよ。普通だよ、普通」




永島君のそのキレイな声に安心した私は、さっきの緊張がなかったのかのように普通に話すことができた。




「普通…かぁ。でも、器用な人って羨ましいよ」



「そ、そうかなぁ…」



褒められると少し照れくさい。




「うん、羨ましい」



また、透き通った声で言う彼。




…でも、気のせいか彼には笑顔がない。