手で言葉を 〈貴方に伝えたいことがある〉


もう少しで職員室に着くと思った時、廊下の角の向こうから声がした。




とっさに立ち止まる。




『…いろいろと迷惑を掛けると思いますが、これからどうぞ宜しくお願いします』



『こちらそこ宜しくお願いします。私どもも精一杯努力しますので…』




姿は見えないけれど、2人ともお辞儀しているのが分かる。




それにしても、聞いたことのある声だよなぁ…。


そりゃ、先生なんだから知ってるとは思うけど。




…やっぱりそうだ。


よく聞く声だと思ったら、担任じゃないか。



萩くんだよ…。





『…ほら、ヒナタも挨拶なさい』




…あれ、もう一人いたのか。




じゃあ、転入生??





『宜しくお願いします…』




3人にばれないように転入生をそっと見る。




あ、横顔が見えた。