もはや王女が出会った微笑んでいる青年ではなく、どんなものにもいとも容易く魔法をかけてしまう、恐ろしい「北の森に住む魔法使い」がそこにいました。

王子は魔法使いの気配が変わったと同時に、右手が剣の柄の部分に触れていました。
しかしその後は、何も行動しませんでした。
魔法使いが再び、男性に向かって自分の推測を言ったからです。
「つまり、あなたは本当に王女の事を愛してはいらっしゃらないということですね?」
王子は魔法使いの言葉を聞きながら、無言のままゆっくりと立ち上がりました。
王女は地面に座り込んだままでした。
男性は顔を青くしながら、魔法使いの方を向いていました。
魔法使いは今度は呆れたように言いました。
「あなたは確かに二番目の王子でしたよね・あなたが欲しかったのは、王女ではなく王女の国だったのですね?」
男性は震えたまま、右手に持っているボーガンの引き金に指をかけました。
魔法使いはその行動を見ると、ちらっと王子を一瞥しました。