一触即発な空気の中で魔法使いは余裕綽々な顔をして、うむと頷き言いました。
「そういうことですか・・・・・・。少々、あなたにご質問があります。よろしいですね?」
男性はこくりと頷きました。
皆が、魔法使いの次の言葉を待ちました。
魔法使いはゆっくりと、そして淡々と話しました。
「あなたは何故先程、王女に向かって矢を放ったんですか?」
その言葉に反応したのは、男性でした。
男性の肩が小刻みに震え始めた。
王子は二人を見ながら、思い出していた。
確かに先程放たれた矢は、王女に向かってきたことを。

王女は魔法使いが何を聞きだそうとしているのか、全くわかりませんでした。
でも王子は、言いたいことが分かってきたようです。
魔法使いは男性を見ながら、さらに続けて言いました。
「あなたとあなたの部がは、矢を射る道具をたくさんお持ちのようですね。この森で王子を襲ったのは、金属の矢と普通の弓矢。ですが、先程王女を襲ったのはあなたの持っているボーガンの矢。これはどういうことでしょうか?」
男性はガタガタを体を震わせていました。
魔法使いはニヤリと不敵な笑みをしていました。
王女は無言のまま、驚いてしまった。
さっきとは比べ物にならないほど、魔法使いが恐ろしい人に見えたからでした。