『ちょっ……それって恋人になれって事ですか?』 あまりに唐突で、俺は面食らった。 『……偽りでいいんです。嘘で構わないんです。最後のひとときを、大好きな貴方と過ごさせてくれませんか?』 『そんな無茶な!!』 母親は、俯き堪えきれなくなった涙を膝の上にポタポタ落とす。 『失礼なのは承知の上です。どうか、どうか聞き入れてはくれませんでしょうか?』