私が叫ぶとヒロトが私の手を力強く握った。


まだダメだ。休止じゃダメだ。なくしてくれなきゃ…

ヒロトはそう言うと苦しそうに咳をした。



何言ってんの?早く病院に行かなくちゃ、あんた死んじゃうわよ!!


あんたの人生、こんなトコで終わらせちゃダメよ!


私は必死に叫んだ!


お母さん…


ヒロトの蚊の泣くような声に一瞬静まった。
ヒロトには幻覚が見えているようだった。
私を見ているようだったけど、私とは目線が合わなかった。

おかあさん

また一言ヒロトが言葉を発した。


私はたまらず、ヒロトを抱き締めた。
涙があふれてくるのを、とめられず、ヒロトの洋服が濡れた。


ゴメンね、ゴメンね。


私は、その言葉しかでなかった。
母親になりきっているというより、一人の大人として女性として母として…ヒロトを抱き締めていた。



ありがとう。


ヒロトが、そう言った時、やっと目線が合った。


そして、その目が少しずつ閉じていった。



それと同時に、たくさんの警察、救急隊が部屋の中に入ってきた。