それでも最初は、そんなに入れる人なんていないだろうと思ってました。
でも一人また一人って次々に入れられたってニュースを聞いていつのまにか10数人。あのせいで俺みたいに正体がわからない子供が一気に増えたんです。



メガネの奥に必死で落ちまいとする涙が見えた。

私は話しているのが犯人なのに、もらい泣きしそうになった。


他の4人も皆、うつむいている。女の子達の、すすり泣く音。


でもさ本当に色んな事情があって、やむおえない人達が日本にはたくさんいるんだと思うよ。産んで、あの痛みを乗り越えた人達だもん。きっとギリギリまで抱き締めながら泣きながら預けていってる人達ばかりだと私は思うよ。私も母親だからわかる。



そうでしょうね。そう思いたいですよ。でも違うんです。俺は…俺は


メガネ男は初めて声を荒げた。今まで冷静を保ち僕と言っていた彼が俺と言った。



俺は知ってるから…あれに入れた奴を…俺は知ってるから…



私は息ができないくらい驚いた。

嘘でしょ。


嘘なんかじゃない。俺は捨てられた一人の赤ん坊の母親も父親も知っている。