溺愛彼氏-いぢわる生徒会長-

「あんた、俺のこと知ってる?」
 は?長谷川、あんたのこと知る必要ないよね?
「知ってるって何を?苗字だけなら知ってるけど・・・」
 そういうと、少し不機嫌そうな顔でこちらを見てくる。
 何、あんたは有名人なわけ?そんなに知ってほしいの?
「唯斗、長谷川唯斗だから」
「・・・そう」
 別に名前聞いてないけど・・・。唯斗なんだね。
 よく見れば長谷川ってイケメンだよね。
 透き通るような瞳、濃い茶色の髪は癖がついてて・・・。
 きっと、いや絶対彼女持ちだろうな・・・。
 そんなのん気なことを考えていると長谷川は私との距離を詰めてくる。
 気がつけば教室には私達2人しかいない。
 私の後ろには扉があってこれ以上下がることはできない。
 それでも長谷川はかまわず私に近づいてくる。
 今までの距離も十分近かった。
 だけど今は違う、服が、髪が触れてる。
 それでも長谷川は取り乱さず、私を見つめている。
「俺さ、生徒会長なんだけどなー」
「へ?」
 思わず耳を疑う。
 だってこのサディストが生徒会長だなんて信じられない。
「冗談だよね・・・?」
 苦笑いしながら聞いた。
 私の頭はそれ以外のことを考えることができなかった。
 長谷川は勝ち誇ったような笑みを浮かべ
「冗談じゃないけど?」
 と一言。
「でさ、今日残ってもらったのは――」
 ゴクリと息を呑む。
「生徒会に入ってもらおうと思って」
 いやいや、無いでしょ。
 転校初日にこうなる?
 答えは・・・ならない!!だよね?
「何の話をしてるの?」