屋上で、私は一人思う。
 唯斗はなぜ、私のことを好きになったのだろうか、と。
 その答えは出ず、行き場のない疑問だけが頭のなかを駆け巡る。
 そして、新たな疑問が生まれた。
 私は唯斗と、初対面じゃない気がする…。
 確信は持てないけれど、そんな気がした。
 もともと私はこのあたりに住んでいたから、可能性はある。
 だけど、そんなことを知ったところで、私には何の意味ももたないし…。
「はぁ…」
 答えのない疑問は、溜息となって私から出てゆく。
 なんで、こうなったんだろうか…。
 自分を責めたって意味ないよねー。
 私悪くないし…そうだよ、全部アイツのせいだ。
 ふと、時計を目にすると、朝礼5分前。
「やば…、はやく戻ろッ!」
 私は、そう呟いて屋上をとびだした。