彼とあたしの右手は、
重ねた掌でしっかりと
繋がれてる。



――その手を優しく引いて
進んでく銀と一緒に、
あたしは森を歩いていった。




目指すは霊狼の里の長、
玖狼様のもと。



“姫”としての役目を
果たして、11年前の
恩返しをするために。



そしてきっとそれは――
あたしにとっても、何かの
ケジメになるに違いない。




「この森の終わりに、
玖狼様がいるの?」



そっと尋ねると、銀は
振り返って優しく言った。


_