「銀…………」



あたしは不安にかられて、
銀の腕にしがみついて彼を
見上げる。



銀はキッと中空をにらんで
何かに意識を集中してる
ようだったけど、やがて
深いため息と共に首を横に
振ると、



「逃げた。もう気配もない」



そっか……。

氷龍は見えなくなっただけ
じゃなくて、本当にいなく
なったんだ。




少し強い風が吹いて、
あたしの髪を揺らした。



近くの工事現場のシートも
揺れて、バサバサと音をたてる。



落ち着かない心を抱えて、
あたしはさらに強く、銀の
腕にとりすがった……。





     ☆☆☆☆☆



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