「私はあなたを愛したことを後悔なんてしてないわ」 見慣れたその文字は、彼女の好きだった青色のペンで綴られていた。 冷たい風が頬を撫でる。 ベランダから見える町並みが少しずつ真っ白に染まっていく。 ----あれからもう、5年経ったよ。 抱えたぬくもりを確かめるように両手でぎゅっと抱き締める。 あの日、あたしたちが泣きながらいつまでも眺めていた文字は真っ直ぐで、彼女らしい綺麗な文字だった。