月夜の物語



ふすまには満月とそれを映し出す水面が描かれている。

濃紺と漆黒の混ざった綺麗な絵だった。

ただ、新にはその美を感じる心が欠如している。彼の中はいたずら心でいっぱいだ。



「…っ、ふ、うっ、」



今日もその部屋からは女性の喘ぎ苦しむ声が聞こえた。

その声は新がいることには気づかずに一層大きくなった。



「…くっ、ひ、っ!」



その声に耳を澄ませながら、よし、と新は意気込んだ。

そのあとはもう、戸惑いなんて無く。

ふすまに手をかけ、勢いよくそれを開けた。