新は一旦家へ帰り、夜警の時間に門の前で悠馬と勤務を交代した。 悠馬は不審そうに新を舐めるように見る。言動以外に、特別変わった様子はない。 長い付き合いの2人だ。新が言い出したら聞かない性格だということは、悠馬が一番よくわかっていた。 「何するか知らないけど、危ないことだけはすんなよ」 「大丈夫。別になんもしねーよ」 「……ならいいけど」 悠馬の背中が遠くなる。その影が暗闇に溶けて消えたのを確認して、新は踵を返し、城の中へ向かった。