「…というわけや、親父」
「いや、どういうわけだ」
「俺は王子を辞めて…美咲と人間界で暮らす」
人間界も住んでみたら結構良いとこやしな
それに今度は人間のために生きるんも悪くなさそうや
「颯人……」
「天使たちはどうするのだ。皆を見捨てるのか」
「見捨てるもなにも、俺には優秀な弟がおるやないか」
そう。俺実は兄ちゃんやねん
「おまっ!弟はまだ五歳だぞ!」
「別にもうちょい親父が頑張ればいいやないか」
「弟に押し付けるのか?」
「アホ。そんなんちゃうわ。もしあいつも嫌や言うたら、そん時は帰ってきたるわ。……美咲も連れてな」


