「待って・・・帰っちゃ・・・ヤダ・・・」
自分の口から出た言葉。それがどんなにワガママで自分勝手な言葉だと分かっていた。
けど、このまま浩ちゃんの手を放してしまったら、浩ちゃんがどこか遠くに行ってしまうんじゃないかと胸が苦しくなった。
「かえらないで・・・」
「なんで?なんで引き止めるんだよ?」
真正面から、あたしを見つめる浩ちゃん。
「分からない・・・けど、このまま浩ちゃんとさよならはヤダよ・・・」
「それって、自分勝手だよ」
分かってる。分かってるけど・・・。
「奈津。お前の本当の気持ちを聞かせてくれないか?」
真っ直ぐな瞳に吸い込まれてしまいそうだ。
あたしの気持ち・・・。
あたしは、浩ちゃんのことをどう思っているの?
「俺のこと・・・嫌いか?」
「嫌い・・・だったよ」
大嫌いだった・・・。


