あたしのハートはキミのもの


 「いいって、気にするな」


 ニカッと微笑む浩ちゃん。その笑顔は強がっているように見えた。

 「ごめんな。お前の気持ち考えないで、自分の気持ちばっか押し付けて。いまの、忘れて」


 そう言って、あたしから離れていこうとする浩ちゃん。その腕を無意識に掴んでいた。


 「なに?」


 あたしに背を向けたまま、そう静かに呟いた。

 その声はどこか怒っているように感じた。


 あたしはどうして浩ちゃんの腕を掴んでいるんだろう?

 浩ちゃん気持ちに応えられなかったくせに、どうしてあたしから去ろうとしている浩ちゃんを引き止めているんだろう?



 何も言えないまま、数分が過ぎた。


 そして「俺・・・帰るから・・・」と言って、あたしの手を振り解こうとする浩ちゃんの腕を「待って!!」と強く握りしめていた・・・。