あの日は、確かきょうみたいに雷が鳴り響く雨が降っていた夜で、あたしの家で浩ちゃんとお留守番をしていた。
あの頃のあたし達はまだ小学生で浩ちゃんが10才であたしは8才になったばかり。
幼い頃から雷が大嫌いで、雷が鳴る度に泣くあたしを慰めてくれていたのは浩ちゃんだった。
雷に震えるあたしを抱きしめて「だいじょうぶ」って、あたしが泣き止むまで抱きしめてくれていた。
あの頃から浩ちゃんは、ずっとイジワルであたしをからかってばかりいたけど
時折見せる優しさが嬉しくて、あたしは浩ちゃんの後ろを付いてばかりいたんだ。
いま想うと、あたしは浩ちゃんのこと「大嫌い」なんて言いながら、本当は「大好き」だった気がする。
もちろん、それが恋心だったのか聞かれたら正直分からないけど…一緒にいて…楽しかったんだ…。


