テレビの音と水音だけが響いていた部屋に、いつの間にか降り出した雨音が重なる。
ずっと黙ったままの浩ちゃん。
浩ちゃんは何を考えているんだろう?
気になるけど、聞けなくて…だからといっても、その横顔を見ることが、なんだかできなかった。
次第に激しさを増していく雨音。
遠くの方で雷が鳴る音が聞こえる。
雷が苦手なあたしは、その音にピクリと体を強ばらせた。
浩ちゃんは変わらず黙り込んだまま、テレビ画面をボーと眺めている。
どうして浩ちゃんは黙っているの?
黙ってないで何か言ってほしいけど、それを伝える言葉も思い浮かばなくて
近づいてくる雷音とカーテン越しに見えた稲妻の光に「ヒッ!!」と小さな悲鳴を上げた瞬間、プツンと部屋中の電気が消えた。


