「ねぇ…浩ちゃん」
「なに?」
「あたしね…浩ちゃんのこと…嫌いじゃないよ」
「じゃあ…」
「けどね。好きかって聞かれたら、よく分からないんだ…」
あたしは、自分の気持ちを正直に話した。
「あたしね、浩ちゃんを、ずっと幼なじみだとしか思ってなかったの。
それに、振られたばかりで…誰かと付き合うとか…そういうの…怖くて。また裏切られるんじゃないかって思ってしまってさ…」
怖いんだと下を向いて膝を抱えた。
キッチンからポチャンポチャンと水道の蛇口から水が落ちる水音と
テレビ画面から聴こえてくる笑い声が、まだ散らかったままの部屋に響いていた。


