「奈津」
「うん…」
「明日の朝には、おばさん帰って来るって言ってたんだろう?」
「うん…」
確かに、お母さんに電話して泥棒のこと話した時、ビックリしながらそう言ってたけど…。
明日の朝かぁ…。それまで一人でいなきゃいけないんだよね。
ヤダナ…。こんな夜に一人だなんて。
ヤッパリ今日は厄日だ。いくらなんでもツイてなさすぎだよ。
悲しくて辛くて俯いたまま、浩ちゃんにお礼を言う余裕もない。
隣にいた浩ちゃんが、スクッと立ち上がった。
もう帰っちゃうのかな?
本当は帰ってほしくないけど、浩ちゃんに、ちゃんと返事できなかったあたしが「帰らないで」なんて、なんか言いにくいし…。
何も言わずに部屋を出て行く浩ちゃん。
パタンとドアが静かに閉まった時、ポトリと涙がこぼれ落ちた。


