「なんでって…」
少し困ったような表情で長めの前髪をクシャリとかきあげる浩ちゃん。
その仕草はどこか恥ずかしそうにも見えた。
「…そんなの決まってるだろう?」
かきあげていた前髪を下ろして、真っ直ぐとあたしの顔を見つめる浩ちゃん。
トクンと鼓動が波打ち息を飲み込んだ。
「好きだからに決まってるだろう」
“好きだからに決まってるだろう”
嘘みたいな言葉が頭の中でリフレインする。
好き…?浩ちゃんが?あたしのことを…?
「冗談」
「冗談じゃないよ」
「嘘だぁー!!」
「嘘じゃねぇよ!」
顔を真っ赤にして言い張る浩ちゃん。
その顔は今まで見たことない真剣な顔。
「う…そ…」
信じられない。そう思った。浩ちゃんがあたしの事を好きだなんて…そんなこと…あるはずがない。


