「誰かにギュッてされたいって思わない?」


「うっ…」



「傷ついてんだろう?お前」



「そんなんじゃ…」


「強がんなよ。何年前からお前を知ってると思ってんの?」


またもやジワリと近づいてくる浩ちゃんに、瞳をキョロキョロさせながら考えた。



5歳の時に浩ちゃんが住んでいた隣の家に引っ越してきた時からだから…。


「10年…」


「正解」



そうニッと右端の口角を上げる浩ちゃんとの距離は、いつの間にか再び動いたら唇が触れてしまいそうな距離に縮まっていた。