あたしのハートはキミのもの

幸せな気持ちを抱いたまま、濃くなっていくオレンジ色の夕空を見上げながら家路を歩いていたら


「綾咲!」


突然、名前を呼ばれて立ち止まると、後ろの方から少し息を切らして駆け寄る石崎くんの姿。


石崎くんとは、あの日、石崎くんからの突然の告白のあと、極力距離を置いていたあたし。


正直、避けていたし。それは、石崎くんも気づいていたはず。


なのに、どうして声をかけてくるの?


困惑した気持ちで彼を見ていたら、どうやらあたしの気持ちかま顔に出ていたようで。


「そんな、あからさまに嫌がるなよな?」


苦笑いして言われた。そんなに俺が嫌いかよと傷付いた表情を見せた。



「ごめん。そうじゃなくて…なんて言うか…」


まさか、由紀が石崎くんのこと好きだから、由紀から誤解されるような言葉したくないとは言えない。


言葉に詰まっていると、相談があると言ってきた。


「相談って、あたしに?」


「あぁ」


石崎くんが、あたしに相談ってなに?まさか、付き合ってくれなんて、言われたりしないよね…?


戸惑う気持ちを隠しながら石崎くんの言葉を待った。