あたしのハートはキミのもの

そして、腰に回された腕。それだけで、あたしは限界だった。


「こうちゃん。ダメだよ」


回された浩ちゃんの腕を制止するように掴んだ。


「どうして?俺のこと嫌いになった?」


止められていじけたような表情で聞く浩ちゃん。ズルイと感じた。

「そうじゃないよ。好き…だよ…」


そう、浩ちゃんの狙いはコレ。あたしに好きだと言わせること。


ずっと浩ちゃんと一緒にいたから、浩ちゃんのいじけた顔を見てすぐに分かった。浩ちゃんが、ワザとあたしに好きだと言わせる為にいじけた顔をしたことを。


浩ちゃんは、ニッと口角を上げて笑うと「なら、いいじゃん」続きしようと、あたしをムギューと抱きしめた。


「ちょっと、待って」と慌てて叫んだ。なんで?と不満な表情を浮かべる浩ちゃん。それは、本気で不満な表情。


これは、ちゃんと言わなきゃ、きっと離してくれない。観念したあたしは、顔を真っ赤にして言った。


「浩ちゃんのこと好きすぎて、これ以上は恥ずかしくて無理なの!」


一瞬、呆気にとられた様子の浩ちゃんは、ニカッと満面の笑みを浮かべると「お前ぇー!」と叫びながらあたしをきつく抱きしめると


「俺も。大好きだよ」


そう耳元で囁いた。


「うん」


幸せが体中に広がっていった。