「お前…もしかして…」
気づかれたと思った。あたしがこのまま家に帰りたくないって想っちゃったこと。
浩ちゃん、なんて言うかな?
ちょっとだけ浩ちゃんの言葉を期待して顔を見つめた。
「お前…トイレ行きたいのか?」
「なっ…!?」
「我慢するな、行きたいんだろう?トイレ。探しにいくか」
カチンと来た。
「浩ちゃんのバカ!!」
やっぱり嫌いだ。いつもそうやってあたしのことをからかって遊ぶんだ。
「最低!!」
浩ちゃんの手を払いのけて少しだけ見えている自分の家に向かって歩き出した。
「待てって」
伸びてきた手に抱きしめられた体。
肩にチョコンと乗せられた浩ちゃんの顎。
「冗談だよ。行くなよ」
胸がキュンとなる音がした。


